VPNパススルー 【VPN passthrough】

概要

VPNパススルー(VPN passthrough)とは、ルータなどが持つ機能の一つで、LAN内のプライベートアドレスを持ったVPNクライアントのパケットをインターネット側に通過させること。

インターネットとLANの境界に位置するルータには、グローバルIPアドレスプライベートIPアドレスを変換するNATなどの機能でLAN側の機器からインターネットへの接続を仲介するが、LAN側の機器が遠隔地のネットワークとVPNを構成して通信を行いたい場合、NATなどのアドレス変換が行われるとVPN通信がうまくいかないことがある。

このため、VPNのためのパケットを識別してそのまま通過させるという機能が必要とされ、これを「VPNパススルー」という。VPNにはIPsecPPTP、L2TPなどのプロトコルが使われるが、VPNパススルーを行うためには基本的にはこれらに個別に対応する必要があるため、どのプロトコルパススルーに対応しているか確認する必要がある。

VPNパススルーを拡張し、複数拠点へのVPNコネクションを同時にパススルーできるようにした機能を「VPNマルチパススルー」という。家庭から勤務先へのVPN接続などの場合は単一コネクションであるためVPNパススルーで十分だが、事業所などが複数拠点間を同時にVPN接続したい場合などにはマルチパススルー対応機種が必要となる。

(2024.8.21更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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