EAR形式【Enterprise ARchive】.earファイル

企業向けのWebアプリケーションは、画面表示を担う部分や業務ロジックを担う部分など、複数の機能単位から構成されることが多い。これらをバラバラのまま管理・配布しようとすると、ファイルの取りこぼしや設定の不整合が生じやすい。EAR形式では、関連するモジュールや設定情報を一括して扱える構造を提供している。JBossやWildFly、WebSphere、WebLogicといったアプリケーションサーバが展開先となる。
内部はZip形式の圧縮ファイルで、その中にJARファイルやWARファイルを格納する入れ子構造になっている。JARファイルはEJB(Enterprise JavaBeans)などで記述されたサーバ側のビジネスロジック層を収め、WARファイルはサーブレットやJSP、HTMLといったWeb層の構成要素をまとめたものである。EAR形式はこれらをさらに束ねる外箱にあたり、展開時には内部の各ファイルも読み出されて実行環境に配置される。
EAR形式の内部には「META-INF」ディレクトリが置かれ、その中の「application.xml」にモジュールの構成や役割、セキュリティの設定などが記述されている。アプリケーションサーバはこの設定ファイルを読み取り、各モジュールを適切に配置・起動する。また、複数のモジュールで共通利用するライブラリを最上位階層の「lib」ディレクトリに収めることで、アプリケーション全体で共有できる仕組みも備わっている。
近年では、マイクロサービスアーキテクチャの普及やコンテナなど軽量な実行環境の台頭を背景に、フルセットのEAR形式を避けてWARファイル単体で完結するシンプルな構成が選ばれる場面も増えている。一方、複数のモジュールを依存関係やバージョンを統一した状態で一括管理・配布する必要がある大規模システムでは、EAR形式が引き続き用いられている。