EtherCAT 【Ethernet for Control Automation Technology】

概要

EtherCAT(Ethernet for Control Automation Technology)とは、工場内の産業機器の制御などに用いられる、イーサネット(Ethernet)を基盤とするネットワーク仕様。いわゆるフィールドバス(フィールドネットワーク)技術の有力規格の一つ。

EtherCATは工場内の管理用のコンピュータと工作機械などの接続と、機械の内部での制御システムセンサーやモーターなど個々の装置の接続の両方で用いられる。

物理的な接続仕様は一般的なコンピュータネットワークに用いられるイーサネット仕様に準じ、RJ45端子ツイストペアケーブルで機器間を接続し、電気信号を流して双方向に通信する。通常のイーサネットフレームペイロード(伝送制御情報を除いた正味の伝送データ)部分に、EtherCAT規格で定められるフレーム入れ子状に積載して機器間を伝送する。

構内ネットワークLAN)などではネットワークスイッチスイッチングハブ)などを中心に各端末を接続するスター型配線が一般的だが、EtherCATでは制御する側の機器(マスターという)を起点に制御される側の装置(スレーブという)を数珠繋ぎデイジーチェーン)に接続する。

マスターフレームを発信すると、スレーブはバケツリレーに隣のスレーブへ次々にフレームを転送していく。各スレーブフレームの内容を読み取って自分に関連がある場合は指示された処理をう。末端のスレーブフレームを隣へ送り返し、再び転送を繰り返してマスターへ戻ってくる。このサイクルを高速に繰り返すことで各装置とリアルタイム通信することができる。

2015年に拡張仕様として通信用のケーブルを利用して電力を供給する「EtherCAT P」規格が追加された。イーサネットにおける「PoE」(Power over Ethernet)仕様に相当する技術で、マスター側からイーサネットケーブル一本で通信と給電の両方をう。スレーブ側では電源のための配線や装置を簡略化することができる。

EtherCATの最初の仕様は独ベッコフオートメーション(Beckhoff Automation)社が開発した。2003年に同社を中心に産業機器メーカーなどが参加して業界団体のETG(EtherCAT Technology Group)が設立され、仕様策定や相互運用性向上などの活動をっている。

(2020.7.25更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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