読み方 : ラン
RAN【Radio Access Network】
概要

移動体通信事業者(キャリア)が運用するネットワークは、拠点間を光ファイバーなど高速な通信回線で結んだ地上区間であるコアネットワークと、その末端の基地局と各端末を結ぶ無線区間であるRANで構成される。端末はRANを介してコアネットワークに繋がることで外部と通信できるようになる。
一つの基地局は「セル」(cell)と呼ばれる通信エリアを形成し、周囲にある自社サービスに加入している利用者の端末を無線で交信する。通信方式で規定される電波の出力によって異なるが、基地局を中心に数百メートル(PHSなど小出力のサービス)から数キロメートル(一般的な携帯電話サービス)がセルの範囲となる。
基地局は電波の送受信を行うアンテナと通信制御機器で構成される。アンテナや制御機器の構成や役割は3G、4Gといった通信方式の世代によって異なるが、最新の5G方式では、アンテナや電波の制御などを担当する「RU」(Radio Unit)、無線信号の変復調や物理的な伝送制御を行う「DU」(Distributed Unit)、近隣のRU/DUの制御やコアネットワークとの橋渡しなどを行う「CU」(Central Unit)の3つの機器が分散配置されている。
RANの構成や性能は端末の繋がりやすさや通信速度に強く影響し、移動体通信サービスの品質を最も大きく左右する要素の一つである。近年では、仮想化技術を取り入れた「vRAN」(virtual RAN)や、仕様をオープン化して複数の製造元の機器を連携できる「O-RAN」(Open RAN)といった構成も現れ、柔軟なネットワーク構築が可能になっている。
(2025.11.28更新)