Windows Embedded

概要

Windows Embeddedとは、米マイクロソフト(Microsoft)社の組み込み機器向けOS製品のブランド名。2008年に同社の組み込み向けOSの統一ブランドとして導入され、異なる複数の製品を束ねていた。

パソコンサーバなどの汎用的なコンピュータ製品ではなく、電子機器に組み込んで使用される特定の目的や機能を実現するためのコンピュータシステムの制御に用いられる。他のWindowsシリーズや同社のソフトウェア製品、サービスなどと親和性が高く、ネットワークなどを通じて容易に連携させることができる。

機器の制御などを行うために通常のWindowsとは異なりリアルタイムOSとして設計されており、また、開発者が必要な機能やソフトウェア部品のみを組み合わせてOSを構成するモジュール型の設計となっている。特定の機能や動作(例えば内蔵ストレージへのデータ書き込み)をオフにして利用者が想定外の操作や利用法を実行することを防止する機能もある。

大きく分けて、パソコン向けWindowsと同様にx86/x64系プロセッサ内蔵製品向けに開発された「Windows Embedded Standard」とその派生製品(POS端末用の「POSReady」や産業機器向けの「Industry」など)、小型機器向けに開発された「Windows Embedded Compact」とその派生製品(携帯情報端末向けの「Handheld」や携帯電話向けの「Mobile」、車載機器向けの「Automotive」など)に分かれる。

後者の小型機器向けはもともと「Windows CE」シリーズとして提供されてきた製品の後継で、x86系プロセッサ以外にも組み込みシステムで人気のRISCプロセッサに対応したバージョンが提供された。

同社の組み込みOSはそれまで「Windows NT 4.0 Embedded」「Windows XP Embedded」「Windows CE」などとして展開されてきたが、Windows Embeddedブランドの導入によりパソコン向けやサーバ向けのWindowsとは独立した製品ブランドとなった。2015年のWindows 10登場時に「Windows 10 IoT」シリーズに再び再編された。

(2022.5.10更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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