アーティファクト 【artifact】
概要
アーティファクト(artifact)とは、人工物、加工品、工芸品、所産、作為、遺物などの意味を持つ英単語。自然に生じたものではなく、人為的あるいは人工的、技術的に作り出された物体や現象を指す。信号処理などの分野では、測定や加工などの過程で生じる信号の歪みや偏り、本来の信号には存在しないパターンなどのことをアーティファクトと呼ぶ事がある。例えば、デジタル化された写真に本来存在しない周期的な縞模様(モアレ)が生じたり、画像や動画のデータ圧縮によってモザイク状のパターン(ブロックノイズ)が現れる現象などが該当する。
システム開発などの分野では、要件定義書や仕様書、プログラムのソースコード、テストの結果など、作業によって生み出された成果物のことをアーティファクトと呼ぶことがある。日本語の「成果物」に相当する単語には他に、“deliverable” (最終的な納品物など)、“outcome” (無形のものを含む成果)などもあり、英語の “artifact” は中間的な作成物を表すニュアンスが強いとされる。
サイバーセキュリティの分野では、保護対象のコンピュータやデジタル機器が残した記録(ログ)や機器内に残されたデータなどを「フォレンジックアーティファクト」(forensic artifact)あるいは単にアーティファクトと呼ぶことがある。利用者の操作記録や外部との通信記録、インシデント発生時のデータやプログラムの状態などが含まれ、サイバー攻撃などの影響や原因の調査、法的な証拠としての提出などに活用される。
(2025.9.25更新)