インクルージョン【inclusion】
概要
インクルージョンとは、社会の中で、年齢や性別、人種、国籍、障害や持病の有無や程度、性的指向、経済状況などの違いに依らず、誰もが排除されることなく尊重され、能力を発揮できる状態。日本では「社会的包摂」と訳されることがある。

もともと障害者や社会的弱者の排除や隔離を防ぐ文脈で提唱された概念だが、現在ではより広い意味で、すべての人が社会から取り残されないようにすることを指す。これは、単に多様な人々を一つの場に集める「ダイバーシティ」(多様性)の状態にとどまらず、その多様な人々が公平に扱われ、その集団や組織に受け入れられ、歓迎されていると感じられる状態を表している。
背景には、教育、雇用、地域生活など多様な場面で、特定の集団が制度や環境によって不利な扱いを受けてきた歴史的経緯がある。インクルージョンの実現においては、個人の特性を理由として参加が妨げられないよう、物理的環境の整備、情報アクセスの改善、制度設計の見直しなどに取り組むべきとされる。
企業においても、多様な人材が働きやすい環境を整備することが、社会的責任を果たすのみならず、離職率の低下や人材の確保、多様な価値観によるイノベーション促進など利点があると捉えられるようになってきており、採用・評価などの人事制度や企業風土の改革に取り組む企業が増えている。
(2025.12.4更新)