ワークエンゲージメント【work engagement】

概要

ワークエンゲージメントとは、仕事に対して活力や熱意、没頭を感じながら前向きに取り組んでいる心理的状態のこと。単なる仕事への満足や熱中ではなく、持続的かつ広範囲にわたる感情的・認知的な結びつきを指す。
ワークエンゲージメントのイメージ画像

オランダの心理学者、ウィルマー・シャウフェリ(Wilmar B. Schaufeli)氏が提唱した概念で、従来から知られる「バーンアウト」(燃え尽き症候群)の対概念として整理される。疲弊した状態ではなく、仕事から活力を得ている状態を示すとされる。

「活力」(vigor)、「熱意」(dedication)、「没頭」(absorption)の三つの要素から構成されるとされる。活力は仕事に向かうエネルギーの高さ、熱意は仕事への意義や誇りの感覚、没頭は作業に集中し時間を忘れるような状態を意味する。

ワークエンゲージメントが高い従業員は、パフォーマンスが安定し、離職意向が低く、組織への貢献行動が増える傾向があると報告されている。また、仕事からの心理的な報酬(達成感や成長実感)を得ているため、ストレスに対するレジリエンス(回復力)も高いとされる。メンタルヘルスの不調を未然に防いで、職場の健全性を保つ効果が期待できる。

エンゲージメントは個人の資質やコンディションだけでなく、仕事の裁量度、上司からの支援、成長機会、役割の明確さなど、職場環境の影響を受けやすい。そのため、組織では職務設計の見直しやコミュニケーションの改善、適切な目標設定によってエンゲージメントを高める取り組みを意識的に行うのが良いとされる。

(2025.11.23更新)