モチベーション【motivation】

概要

モチベーションとは、人が行動を起こし、その行動を持続させるための内的な動機や意欲のこと。仕事や学習の成果に影響を与える要因として重視される。

種類と性質

モチベーションは、大きく二つの種類に分類されるのが一般的である。一つは「外発的モチベーション」(extrinsic motivation)で、報酬(給与や昇進など)や懲罰、他者からの評価など、外部からもたらされる要因によって引き起こされる動機付けである。例えば、「昇進したいから頑張る」「給料が上がるから残業する」といった行動の原動力である。外発的動機は即効性があるものの、その要因がなくなると意欲が低下しやすい性質がある。

もう一つは「内発的モチベーション」(intrinsic motivation)である。これは、仕事そのものへの興味や関心、達成感、自己成長の喜びなど、個人の内面から湧き出てくる動機付けである。例えば、「この仕事が好きだから続ける」「困難な課題を解決すること自体にやりがいを感じる」といった状態がこれにあたる。内発的動機は、行動の持続性や質の高いパフォーマンスにつながりやすく、長期的な組織への貢献を促す上で重要だとされている。

理論的枠組み

モチベーションのメカニズムを説明するために、様々な理論が提唱されてきた。代表的なものに、アメリカの心理学者アブラハム・マズローによる「欲求五段階説」がある。これは、人間の欲求は「生理的欲求」から始まり、「安全」「所属と愛」「承認」を経て、最終的に「自己実現欲求」へと段階的に高まっていくという理論である。企業は、従業員がどの段階の欲求を持っているかを把握し、それに応じた職場環境や機会を提供することが求められる。

また、フレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」も有名である。これは、仕事の満足度を高める「動機付け要因」(達成、承認、仕事自体の面白さなど)と、不満足を防ぐ「衛生要因」(給与、労働条件、人間関係など)が別個に存在するとする理論である。衛生要因を満たしても不満が解消されるだけで意欲は向上せず、動機付け要因を与えることで初めて高いモチベーションが生まれるとされる。

企業における活用

現代の企業においては、従業員の内発的モチベーションをいかに引き出すかが人材戦略の鍵となっている。具体的には、個人の裁量権を拡大すること、フィードバックと成長機会を与えること、そして仕事の意義や目的を明確に伝えることが、モチベーション向上施策の中心となっている。

(2025.11.23更新)