読み方 : どくせんきんしほう
独占禁止法【私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律】
概要
独占禁止法とは、市場における公正かつ自由な競争を確保するため、事業者による独占や不公正な取引慣行を規制する法律。公正取引委員会が所管し、違反した事業者には排除措置命令や課徴金などの行政処分が行われる。

日本の独占禁止法は正式名称を「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」という。戦後の1947年に制定され、時代ごとの経済状況に合わせて改正を重ねてきた。規制する主な行為は、「私的独占」「不当な取引制限」「不公正な取引方法」という三つの類型に分けられる。
「私的独占」とは、事業者が単独または他の事業者と共同して市場を独占し、競争相手を排除したり事業活動を抑圧するなどして、競争を実質的に制限する行為をいう。企業結合が競争に与える影響も対象となり、合併や株式取得などが市場での競争を実質的に制限するおそれがある場合には、事前届出や審査が行われる。
「不当な取引制限」はカルテルや入札談合などが該当し、複数の事業者が相互に連絡を取り合い、価格や生産数量、取引先(担当顧客)などを取り決める行為である。本来は市場で競い合うべき競合同士が手を組み、顧客や消費者から選択肢を奪い不当に利益を収奪することに繋がるため禁止されている。
「不公正な取引方法」は、優越的な地位の濫用、抱き合わせ販売、排他条件付き取引(競合他社との取引禁止など)のように、公正な競争を阻害する様々な行為を広く規制する。例えば、市場で強い立場にある事業者が、取引相手に対して不利益な条件を押しつけたり、対価を支払わず業務の補助を強いる行為などがこれに該当する。
これらの規制は、自由市場における競争を歪める行為を防止・排除する点に主眼が置かれている。法律の運用は公正取引委員会が担い、違反行為が認定された場合には排除措置命令や課徴金納付命令などの処分が科される。他国の競争当局間協議などを通じて、国境を越える取引や多国籍企業の行為にも対応している。
(2025.12.4更新)
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▼ 基本情報技術者試験
【平27秋 問80】 独占禁止法の目的として,適切なものはどれか。