ワークライフバランス【work–life balance】

概要

ワークライフバランスとは、仕事(ワーク)と私生活(ライフ)のいずれかに偏りすぎることなく、双方が調和して成り立っている状態。単なる労働時間の短縮ではなく、個々人がそれぞれのライフステージや価値観に応じて、仕事と育児、介護、自己啓発、地域活動といったプライベートな活動を両立できる状態を指す。
ワークライフバランスのイメージ画像

日本の昭和的な企業観・労働観では、男性社員が私生活を顧みず長時間労働で仕事に没頭し、専業主婦の妻で家庭の一切を取り仕切って支えるという画一的なモデルが前提とされた。しかし、男女平等の推進による女性の職場進出、男性の家庭での役割の高まりなどから、現代ではその前提は成立しなくなっている。

また、少子高齢化や労働力人口の減少が進み、慢性的・構造的な採用難、転職市場の活性化、介護離職の増加など、企業による画一的な働き方の強制は限界を迎えつつある。そこで、働き手の生活や事情、価値観に基づいて働き方を多様化し、誰もが仕事と私生活のどちらかを犠牲にすることなく安定して生活できる社会を目指すワークライフバランスの考え方が注目されるようになった。

企業にとっては、従業員が生活を犠牲にすることなく働き続けられる環境を整備することで、優秀な人材を引き寄せ、あるいは引き止め、その能力を最大限に引き出し、生産性の向上を図ることができる。特に、育児や介護など家庭の事情と仕事を両立しなければならない従業員にとって、柔軟な働き方ができることは不可欠となる。

ワークライフバランスを実現するための具体的な施策として、短時間勤務制度や育児・介護休業制度の拡充、働く場所や時間を柔軟に設定できるテレワーク在宅勤務)やフレックスタイム制度などが挙げられる。単なる制度の整備に留まらず、従業員がそれらの制度を利用しやすいように、長時間労働を是正するための業務効率化を図ることや、経営層や管理職の意識改革を行うことも重要である。

(2025.11.23更新)