読み方:マイクロアイトロン
μITRON 【micro ITRON】
概要
μITRON(micro ITRON)とは、TRONプロジェクトが策定した、産業機器などへの組み込みシステムに搭載するリアルタイムOSの標準仕様。同仕様を策定するサブプロジェクトの名称でもある。産業機器や輸送機械、家電製品、情報・通信機器などに組み込むコンピュータシステムを制御するためのOSの標準仕様を定めたもので、この仕様に準拠したOSを企業などが開発している。μITRON準拠のOSは様々な機器・プロセッサ向けに数十種類が存在すると言われる。
組み込みシステムの事情を反映し、詳細で厳密な標準化やハードウェアの抽象化を避け、個々のOSの実装によりハードウェアの性能や機能を発揮できるようになっているが、μITRON準拠OS間の互換性が低く、ソフトウェアの移植性や再利用性が低いという問題もある。
最初のITRON仕様は1987年に発表され、1989年に後継のフルセット規格「ITRON2」と、小規模システム向けに仕様を絞り込んだ「μITRON2」が発表された。その後、μITRONの方が広く普及したため、バージョン3.0からは「μITRON」が規格名称となり、仕様の縮小に関する規約も仕様本体に取り込まれた。
μITRONの開発はバージョン4.0で終了となり、2002年に後継として共通仕様による高い互換性を重視した「T-Engineプロジェクト」が発足した。ハードウェア仕様として「T-Engine」を、ソフトウェア仕様として「T-Kernel」を策定しており、2018年には「μT-Kernel」の仕様がIEEE 2050-2028として国際標準化された。
(2025.9.8更新)