スペクトル【spectre】スペクトラム/spectrum
概要
スペクトルとは、光や電波などを周波数や波長を基準に成分に分解し、順番に並べて分布を示したもの。特定の周波数成分の有無や強度を一覧することができる。「スペクトル」はフランス語の “spectre” に由来し、他に英語の “spectrum” に由来する「スペクトラム」という表記が用いられることもある。

電磁波や音波などの周期的な現象(波動)を測定し、どの周波数の成分がどのくらいの強さで含まれているかを調べ、周波数(または逆数の波長)の小さい順に並べたグラフや画像などで表したものを指す。特定の周波数成分のみが含まれる離散的(飛び飛び)なスペクトルを「輝線スペクトル」、連続的に様々な周波数成分の強度を示したものをスペクトルを「連続スペクトル」という。
無線通信の分野では、通信に用いる電波のスペクトルは周波数成分の広がりを表し、送信信号がどの帯域を使用しているかを示している。通信システムは限られた周波数帯を複数の用途で共有するためスペクトルの効率的利用が重要で、周波数割り当てや変調方式の設計などに活用される。例えば、広帯域のスペクトルを占有する信号は高速なデータ通信に利用される一方、狭帯域の信号は安定性が必要な通信や低消費電力の通信に適しているとされる。
移動体通信(携帯電話)や無線LANで用いられる高速なデータ伝送方式では、信号を広い周波数帯に分散して送信する「スペクトラム拡散」(spread spectrum)というテクニックが用いられる。元の信号の周波数帯域の何十倍も広い帯域に拡散して送信することで、ノイズの影響や他の通信との干渉を低減したり、通信の秘匿性を高めることができる。
(2025.11.29更新)