フェムトセル 【femtocell】
概要
フェムトセル(femtocell)とは、極めて小規模な携帯電話基地局によって実現される、宅内やオフィスのワンフロア内など、極めて狭いカバー範囲のこと。通信事業者だけでなく利用者が設置して運用することができる。携帯電話網で一つの基地局のカバーする範囲のことを、生物の体を構成する細胞になぞらえて「セル」(cell)という。通常の携帯電話ではセルのカバー範囲は半径数kmあるが、フェムトセルはカバー範囲が半径10m程度であり、一般家庭の家屋内やオフィスの一つの部屋、フロアなどをカバーする。
「フェムト」(femto)とは単位の接頭辞の一つであり、10のマイナス15乗、すなわち1000兆分の1を意味する。極めて狭い範囲のセルという意味でこのように呼ばれる。
フェムトセルはバックボーンとして家庭に引き込まれた光ファイバーなどのブロードバンド回線を利用することが想定されている。第三世代以降の携帯電話(3G/4G/5G)は高い周波数を利用するため、電波の直進性が高く、屋内に電波が届きにくい性質があるため、利用者は間近に基地局があることで通信・通話品質の向上が見込まれる。
また、フェムトセルは携帯電話会社(キャリア)の無線ネットワークや基地局の通信回線、バックボーン回線にかかる負荷を軽減するため、料金の低廉化や定額制の導入などを期待できる。キャリアにとっては、一般の基地局を利用する人が減るため設備の負担が軽くなり、フェムトセルの普及が進展すれば基地局の増強などを回避してコストを低減することが期待できる。
(2020.4.2更新)