読み方 : アプトエックス

aptX

概要

aptXとは、主にBluetoothでの音声伝送に用いられる音声圧縮・復号方式(コーデック)の一つ。高音質と低遅延を両立した方式として知られ、標準コーデックのSBC(Subband Codec)より優先して選択されることが多い。権利は米クアルコム(Qualcomm)社が保有し、対応にはライセンス契約が必要である。
aptXのイメージ画像

音声を送信する機器がaptXで音声データを圧縮してBluetoothで伝送し、受信する機器が復号して再生する。実際に利用するには、スマートフォンなどの送信側とイヤフォンなどの受信側の双方がaptXに対応していなければならない。

対応機器同士であれば、標準コーデックのSBCよりaptXが優先して選ばれることが多い。SBCと比べて音質の劣化が少なく、伝送に伴う遅延も短いためである。ただし元の音源の品質や機器の設計、通信環境なども再生品質に影響するため、aptXへの対応だけで音質が決まるわけではない。

aptXには複数の派生規格がある。遅延を抑えた「aptX LL」や、より高音質な「aptX HD」、通信状況や再生内容に応じてビットレートを動的に調整する「aptX Adaptive」などである。近年では、aptX Adaptiveを基盤として、CD相当の完全可逆圧縮を実現する「aptX Lossless」も加わっている。これらの派生規格は互換性が異なり、送信側と受信側が共通して対応する方式が実際の通信で選択される。

Qualcomm社はこうした一連の音声技術やチップセットをまとめ、対応するスマートフォンやイヤフォンに搭載されていることを示す「Snapdragon Sound」という認証ブランドも展開している。低遅延と高音質、通信の安定性を兼ね備えた製品であることを示す目印として使われている。

対応機器の状況にも特徴がある。Androidスマートフォンでは送信側の圧縮プログラムが無償で組み込めるようになったこともあり、多くの機種がaptXに対応している。一方、iPhoneをはじめとする米アップル(Apple)社製品はaptXにネイティブ対応しておらず、AAC形式などを中心に採用している。

aptXの起源は1980年代にさかのぼる。ADPCM方式を改良する形で考案され、当初はワイヤレスイヤフォンのような民生用途ではなく、1990年代の映画業界や放送局などにおける業務用の音声処理システムで利用されていた。2010年代に入り、BluetoothのA2DPプロファイルでオプションコーデックの一つに採用されたことをきっかけに、ワイヤレスイヤフォンやヘッドフォンの接続用途で広く使われるようになった。

(2026.9.5更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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