MISTY 【KASUMI】
概要
MISTY(KASUMI)とは、1995年に三菱電機の松井充氏らが考案した共通鍵(秘密鍵)暗号方式。同社はMISTYの特許を取得しているが、特許使用料の請求はせず無償で使用できることを宣言している。MISTYは暗号化と復号に同じ暗号鍵を用いる共通鍵暗号の一種で、64ビットの固定されたデータ長ごとに暗号化を行うブロック暗号である。鍵長は128ビット。暗号の解読を効率的に進める汎用的な手法である差分解読法や線形解読法などに対して高い安全性を示すことが証明されている。
当初考案された「MISTY1」と、繰り返し計算(ラウンド関数)の一部を並列処理できるよう改良した「MISTY2」、携帯機器向けに最適化された「KASUMI」の3つのバリエーションがある。
MISTY1は欧州連合(EU)の暗号標準であるNESSIEや日本政府のCRYPTRECプロジェクトによる電子政府推奨暗号リストに採用され、2005年には国際標準規格のISO/IEC 18033の暗号アルゴリズムの一つとして標準化された。KASUMIは3G携帯電話標準のW-CDMAおよび2GのGSMの標準暗号方式に採用されている。
MISTYという名称は “Mitsubishi Improved Security Technology” の略と説明されるが、その由来は、松井氏をはじめ同方式の開発に深く携わった関係者(市川、反町、時田、山岸の各氏)の頭文字のアルファベットを繋げたものである。暗号方式自体は無償で公開されているが、「MISTY」の名称は同社の登録商標であり、製品名など一部などに無断で使用することはできない。
(2022.6.24更新)