IronPython
概要
IronPythonとは、Pythonの実行環境を米マイクロソフト(Microsoft)社の.NET環境に実装したもの。Apacheライセンスに基づいてオープンソースソフトウェアとして公開されている。著名なスクリプト言語のPythonで書かれたプログラムをMicrosoft .NETの共通中間言語(CIL)形式のコードに変換し、.NET Frameworkや.NET Core、Mono、各種の互換環境で実行することができる。.NET Frameworkの提供する機能を利用することができ、他の.NET言語で記述されたプログラムと連携させることもできる。
2004年にジム・ヒューガニン(Jim Hugunin)によって試験的な最初のバージョンが公開された後、同氏がMicrosoft社に入社し、2006年に同社によって正式版が公開された。.NETのスクリプト言語向けの実行基盤である動的言語ランタイム(DLR:Dynamic Language Runtime)を用いて実装されている。
同社の標準的な統合開発環境(IDE)であるVisual Studioには、Pythonによる開発環境を追加する「Python Tools for Visual Studio」(PTVS)が提供されている。正式に対応するPythonのバージョンは2.7までだが、3系に対応した実装がベータ版として試験的に公開されている。
似た仕組みの処理系として、PythonプログラムをJavaバイトコードに変換し、Java仮想マシン(JVM:Java Virtual Machine)上で実行できるようにする「Jython」(ジャイソン)がある。また、.NET環境に対応した著名なスクリプト言語の処理系としては、Rubyを移植した「IronRuby」などが知られている。
(2022.10.27更新)