読み方 : へんそうかんけいすう
偏相関係数【partial correlation coefficient】
概要
偏相関係数とは、二つの変数の間の相関関係(関連の強さ)を、他の変数の影響を除いた上で測る指標。三つ以上の変数が関係する状況で、ある二つの変数の結びつきをより正確に評価することができる。

通常の相関係数(単純相関係数)は二つの変数の値のみを用いて関連性の強さを算出し、他の変数の影響を考慮しないため、第三の(あるいはさらに他の)変数による共通の変動が相関を生じさせている場合には、その関係を正しく理解できないことがある。
例えば、「かき氷の売上」と「水難事故の件数」の間に見かけ上の強い相関関係が算出されたとしても、この二つの間に直接的な因果関係などがあるとは限らず、二つとも「気温」という第三の要因の結果に過ぎない可能性が高いと考えられる。
偏相関係数は、この共通要因を統計的に取り除くことで、対象となる二つの変数間の直接的な関係の強さを抽出する。計算方法としては、それぞれの変数から制御変数(第三の要因)の影響を線形回帰で取り除き、残差を算出する。二つの残差の系列について単純相関係数を計算したものが偏相関係数となる。値の解釈は通常の相関係数と同じで、1に近いほど強い正の相関を、0に近いほど無相関を、-1に近いほど強い負の相関を示唆している。
複雑な多変量データの中から特定の要因の影響を切り分けて議論したいときに有用な指標であり、心理学や教育学、経済学、社会学など人間の行動や社会的な現象を扱う分野では特に重宝される。機械学習の特徴量エンジニアリングでも、変数間の依存関係を調べる手段として活用される。
(2025.12.12更新)