読み方 : データりようけん
データ利用権
概要

現代社会においてデータは、統計解析や機械学習などを通じて何らかの経済的あるいは公共的な利益を生み出す有用な資源となっているが、現行の法体系ではデータそれ自体は無体物で、所有権や包括的な保護・独占などを規定した法制度はない。
ある主体が保有するデータを別の主体が利用したいときには、契約によって利用目的や方法、期間などを定めてアクセス権限を与えるという手段が用いられる。契約によって相手方へ与えられる、データを取得して処理する権利をデータ利用権と呼んでいる。経済産業省では2017年に「データの利用権限に関する契約ガイドライン」を発行し、事業者間でデータ提供を行う際の契約における論点を整理している。
なお、データが著作物に該当する場合は著作権法によって、企業秘密に該当する場合は不正競争防止法によって、それぞれ所定の保護を受けることができる。また、データに個人情報が含まれる場合には個人情報保護法によってデータの扱いに制約が課され、情報が表す個人(本人)にも一定の権利が認められている。データ利用権を含む契約ではこうした他の法制度との兼ね合いにも留意する必要がある。
(2025.12.14更新)