読み方 : オッカムのかみそり
オッカムの剃刀【Occam's razor】Ockham's razor
概要
オッカムの剃刀とは、「何かを説明するのに、必要以上に多くを仮定すべきでない」とする考え方。様々な要因や説明が考えられるときは、なるべくシンプルなものを優先すべきとする指針で、科学やビジネスなど様々な分野で問題解決の基本原則として用いられる。

14世紀イギリスの神学者・哲学者である、オッカムのウィリアム(William of Ockham)が広めたとされる考え方で、同じ程度にもっともらしい説明が複数考えられる場合、最も仮定の少ない説を優先的に検証すべきとする。仮説や理論、説明を不必要に複雑にすることを戒めている。
「シンプルなほど正しいはずだ」という主張ではなく、単純な仮定では現象を説明できないならば、仮定を増やすことを躊躇すべきではない。また、ある説明に不要だった要素や仮定があったとして、それらが存在しないとか、間違っていることも示唆しない。単にその説明には不要だったというだけである。
由来
原文は諸説あるが、よく知られるのはラテン語の “Entia non sunt multiplicanda praeter necessitatem” という一文で、直訳すると「必要以上に実体を増やすべきではない」となる。これはウィリアム自身の手による記述ではなく、彼の死後3世紀を経た1639年に哲学者ジョン・パンチ(John Punch)が記した著作の一節が広まったものとも言われる。
「剃刀」(カミソリ)という表現は不必要な要素を削ぎ落とすイメージからついたものだが、「オッカムの剃刀」という名称はウィリアム自身やパンチによるものではなく、パンチからさらに2世紀後の1852年にイギリスの哲学者ウィリアム・ハミルトン卿が著作に記した表現が広まったものとされる。
(2025.11.16更新)