オーディエンス【audience】
概要

もとは劇場や競技場に足を運ぶ観劇客や観戦客を指す言葉であり、そこからテレビ番組を見る視聴者やラジオ番組を聞く聴取者を指す意味に広がった。デジタルマーケティングの分野では、この意味が転じ、広告主が広告を届けたい利用者の集団として扱われる。
WebサイトやWebサービスを訪れて内容を閲覧したり機能を利用したりする人は、一般に「訪問者」「閲覧者」「利用者」等と呼ばれる。同じ人物であっても、広告配信サービスや広告主の視点から広告を受け取る対象として見た場合には、オーディエンスと呼ばれる。運営者にとっての利用者と、広告主にとってのオーディエンスは、立場によって同じ人物に異なる呼び方が与えられていると考えることができる。
オーディエンスを年齢や性別などの属性、興味・関心、購買意向、過去のサイト訪問歴などの条件で分類したまとまりは「オーディエンスセグメント」(audience segment)と呼ばれる。広告主はこのセグメントを指定することで、配信対象を絞り込むことができる。過去に自社サイトを訪れた利用者に絞って広告を表示することも、この仕組みの一例である。
オーディエンスターゲティング
Webブラウザに識別情報を保存するCookieの仕組みなどを用いて利用者を識別し、閲覧履歴や行動履歴から属性や嗜好が似た利用者をグループ化したうえで、共通の特徴を持つ層に絞って広告を配信する手法は「オーディエンスターゲティング」(audience targeting)と呼ばれる。この手法は特に、外部サイトをまたいで利用者を追跡できる「サードパーティCookie」によって支えられてきた。
しかし近年、このサードパーティCookieを取り巻く状況は大きく変化している。米アップル(Apple)社のSafariや米モジラ財団(Mozilla Foundation)のFirefoxはサードパーティCookieを原則ブロックしており、米グーグル(Google)社も当初予定していたChromeでの全廃こそ撤回したものの、利用者がプライバシー設定を選べる仕組みへの移行を進めている。このため、サードパーティCookieを前提としたオーディエンスターゲティングは対象となる利用者の母数が減少し、従来ほどの精度で機能しにくくなりつつある。
これを補う動きとして、自社サイトで直接取得する「ファーストパーティデータ」を基盤にオーディエンスを識別する手法や、既存顧客と似た傾向を持つ利用者層に配信する「類似オーディエンス」、Webページの内容そのものに基づいて広告を出し分ける「コンテクスチュアルターゲティング」(contextual targeting)などを組み合わせる手法が広がっている。日本国内でも、外部送信されるCookie等の情報について利用者への通知や同意取得を求める規制の議論が進んでおり、Cookieだけに依存しないオーディエンスの識別と活用への移行が続いている。