読み方 : ブイドム

VDOM【Virtual Domains】仮想ドメイン/バーチャルドメイン

概要

VDOMとは、米フォーティネット(Fortinet)社のUTM(統合脅威管理)製品「FortiGate」シリーズに搭載されている機能で、一台の製品を仮想的に複数台の独立した機器のように分割して動作させるもの。分割された各VDOMは、独自のネットワーク構成やセキュリティポリシーを持つ、独立した仮想的なFortiGateとして利用できる。
VDOMのイメージ画像

FortiGateは、ファイアウォール、侵入防止システム(IPS)、VPN、Webフィルタリング、アンチウイルスなどのセキュリティ機能を一台に統合した専用機器(セキュリティアプライアンス)である。通常はインターネットと内部ネットワークの境界に設置し、その間を通過する通信を一括して監視・制御する役割を持つ。

VDOMを有効にすると、一台のFortiGateを仮想的に複数のFortiGateへ分割できる。各VDOMはそれぞれ別個のネットワークに接続し、独立した機器として運用することが可能である。ファイアウォールポリシーやルーティング設定、管理者権限なども各VDOMごとに個別に定義できるため、あるVDOMの設定変更が他のVDOMへ直接影響することはない。

各VDOM間はネットワーク的に隔離されており、互いに直接通信することはできない構成が初期状態である。ただし、VDOM間リンクを設定すれば、必要に応じて相互に通信させることもできる。この隔離性により、内部ネットワークとDMZ、開発環境と本番環境など、異なるセキュリティ要件を持つネットワークを同一の装置上で安全に分離して運用できる。

この機能を利用すると、用途や部門、顧客ごとに物理的なUTMアプライアンスを個別に導入する必要がなくなる。一台のFortiGateへ集約することで、機器の購入費用や設置スペース、消費電力、保守契約などにかかるコストを抑えられるほか、運用・管理の手間も軽減される。データセンターやサービスプロバイダが、複数の顧客に個別のセキュリティ環境を提供するマルチテナント環境を実現する手段としても活用されている。

作成できるVDOMの数は機種やライセンスによって異なる。標準的な機種では最大10個程度に制限されている一方、上位モデルではより多くのVDOMを構築できる場合がある。なお、VDOMはFortiGate内のCPUやメモリといったハードウェア資源を分割して使う仕組みであるため、VDOM数を増やすほど各VDOMに割り当てられる処理性能は相対的に少なくなる点に注意が必要である。

(2026.6.27更新)
 

他の辞典等による「VDOM」の解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。