FEAL 【Fast data Encipherment ALgorithm】
概要
FEAL(Fast data Encipherment ALgorithm)とは、1987年にNTT(当時)の清水明宏氏と宮口庄司氏が考案した共通鍵暗号方式。同社(現在はNTTデータ)が運用する国内最大のカード決済ネットワーク「CAFIS」などで利用された。暗号化と復号に同じ暗号鍵を用いる共通鍵暗号(秘密鍵暗号)で、平文を64ビット単位で暗号文に変換するブロック暗号である。鍵長は64ビットあるいは128ビット。暗号化と復号が同じ処理で表される「Feistel構造」を採用している。
最初に発表されたのは、鍵の異なる同じ演算(ラウンド)を4回繰り返す「FEAL-4」で、その後ラウンド数を8回に増やした「FEAL-8」、32回以上の可変回数とした「FEAL-N」、「FEAL-N」の鍵長を128ビットに拡張した「FEAL-NX」などが考案された。
FEALは当時の秘密鍵暗号の世界的な標準だった「DES」(Data Encryption Standard)を代替することを主眼に、より高速で安全な暗号アルゴリズムを目指して開発された。プログラムで実装しやすい処理や演算を組み合わせて暗号化や復号を行うのが大きな特徴で、他の方式に比べ小さなサイズのソフトウェアで高速に処理することができる。
FEALの安全性の評価や効率的な攻撃手法の探求をきっかけに暗号の解読手法の研究が大きく進展し、今日では「差分解読法」や「線形解読法」として知られる手法が考案された。FEAL自体はこれらの新しい攻撃手法により十分な安全性が確保できなくなったと考えられており、現在では利用は推奨されない。
(2024.1.15更新)