CASL 【CASL II】

概要

CASL(CASL II)とは、IPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の出題のために設計された、架空のマイクロプロセッサ(CPU)のためのアセンブリ言語

アセンブリ言語はその性質上、特定のCPU製品の機械語と一対一に対応する仕様であるため、世の中で実際に使用されているアセンブリ言語のほとんどは特定企業の特定製品(群)の仕様に基づいて定義されている。

公的な機関が主催する試験で特定の製品の仕様に基づく出題をうことはあまり適当ではないため、IPAでは架空のCPUである「COMET」の仕様を定義し、COMET上で動作する架空のアセンブリ言語としてCASLを定義した。

情報処理技術者試験などのプログラミングに関する出題では、一般的な高水準言語に関してはPythonなど実在の言語を用い、アセンブリ言語を選択した場合には実在のCPU向けの言語ではなくCASLで出題される。

CASLを直接実行できるCOMET相当のCPU製品は無いが、WindowsmacOSなど一般的なOS上で動作するソフトウェアによるシミュレータ開発・公開されており、CASLで記述したプログラムCPU実行する様子をパソコンなどで実際に確かめることができる。

COMETおよびCASLの仕様はIPAWebサイトなどで公表されているほか、試験問題の冊子の中でも説明されており、仕様や命令語などをあらかじめ暗記していなくても回答できる。IPAでは表計算ソフトに関する出題でも、同様の事情から架空の表計算ソフトの仕様を定義・公表している(CASLのような固有名は無く単に「表計算ソフト」と呼ばれる)。

オリジナルのCASLおよびCOMETは1986年に前身のCAP-X(アセンブリ言語)、COMP-X(架空CPU)に代わって登場し、当時の第二種情報処理技術者試験などで他の言語との選択問題などで出題された。2001年に仕様が改訂され、以降は「CASL II」「COMET II」と呼ばれるようになった。

(2022.4.4更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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