レーザーディスク 【LD】 Laser Disc
概要
レーザーディスク(LD)とは、映像や音声の記録に用いられる光学ディスクの一種。直径30cmの樹脂製の薄い円盤の表面に微細なへこみ(ピット)を螺旋状に高密度に並べて信号を記録し、再生時には高速で回転させながら表面にレーザー光を照射して盤面の反射光の変化から信号を読み取る。1974年に蘭フィリップス(Philips)社と米MCA社が仕様を策定し、日本では1981年にパイオニアが初の対応製品を発売した。パイオニアは「LD」「レーザーディスク」の商標権を取得したり(後に他社に無償で開放)、映像ソフトの制作・販売を行う子会社を設立するなど普及に中心的な役割を果たした。
映像・音声ともにアナログ信号として記録され、最長で片面60分、両面で120分を記録することができる。後に直径20cmの短時間(最長20分)記録用のディスクや、音声をデジタル方式で記録する拡張規格なども登場している。
デジタル記録方式の媒体に比べ信号のデジタル化や圧縮符号化に伴う画質・音質の劣化や情報の欠損が生じず、テープ媒体などに比べ読み取りが非接触式で繰り返し再生しても摩耗による劣化が起きないといった利点があり、映像の品質にこだわる利用者を中心に普及した。
しかし、技術的な制約から利用者がテレビ放送などの映像を録画したり、ゲームソフトやコンピュータ用ソフトウェアなどを記録する汎用のデータ記録メディアとして利用することはできなかった。また、営業戦略上レンタル方式での提供を禁じていたため、映像ソフトの販売専用に用途が限定された。
1980年代には初期の業務用カラオケ機器の音声・映像の記録媒体として標準的な地位を確立し、アニメーション作品のコンテンツ販売(LD-BOX)などでも一定の普及を見たものの、1990年代にはVHSビデオテープやDVD(DVD-Video)の普及に押され、90年代末に各社の撤退、生産終了が相次ぎ、実質的にその役割を終えた。
(2022.6.3更新)