オントロジー 【ontology】

概要

オントロジー(ontology)とは、哲学における存在論。IT分野では、コンピュータ上で知識を表現して共有するために、どのような枠組みや形式に従って概念を記述するか定義したものを指す。

コンピュータで現実世界の課題について何らかの知的な操作を行うには、背景となる知識や論理を獲得する必要がある。人間がこれを記述してデータとして与える場合、対象をどのようにモデル化し、どのように記述するかについて仕様を定めておく必要がある。

オントロジーは知識化の対象となる世界をどのように捉え、個々の概念の何に着目して、どのように記述すべきかという体系を示す。同じオントロジーで記述された知識ベースは、異なるシステム間で共有、再利用して、同じように活用することが期待できる。

目的や対象に応じて様々なオントロジーが定義されているが、その多くに共通する構成要素として、実体(エンティティ)、分類(クラス)、属性、関係、制約、ルールなどがある。これらを組み合わせて、概念の定義や概念間の関係性、推論規則などを記述する。具体的なデータ形式を定めた言語は「オントロジー言語」という。

1970~80年代には知識の形式的な記述と、これを利用したルールベースAIの研究・開発が活発で、様々なオントロジーが提唱された。Cycプロジェクトのように汎用的な知識ベースを構築する試みも行われた。インターネットが普及すると、Web上の記述内容にオントロジーに従った注釈をつけて知識ベースとして活用する「セマンティックWeb」という構想が提唱され、RDF(Resource Description Framework)やOWL(Web Ontology Language)などの記述言語が発表された。

(2025.9.9更新)

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