読み方:ルールベースしゅほう
ルールベース手法 【rule-based approach】 ルールベースAI
概要
ルールベース手法(rule-based approach)とは、人工知能の実装方式の一つで、人間が事前に与えた条件や規則の集合に基づいて動作するもの。最も古くから研究されているタイプで、現代ではAIとはみなされないことが多い。人間があらかじめ、数値の計算式や、「もし~なら~せよ」といった条件式などのルールをプログラムに組み込んでおき、このルールに基づいて判断や推論などの処理を実行する。ルールはプログラム本体に記述してしまう方式と、データとして外部から与える方式がある。
機械学習のように大量のデータが必要なく、後から明快に説明可能な論理に従って動作するという利点がある。予測不可能な、あるいは説明の困難な振る舞いもしにくい。扱う分野や対象が限られており、人間が判断基準などを明確に説明できるような用途では高い性能や精度を示すことがある。
一方、ルールをあらかじめ明確に決められないような対象や、ルールから外れた例外的な事例を扱うことは難しい。また、自然言語の翻訳や、常識が必要な実世界での判断など、扱う対象が無数に存在したり、分野や状況に何の制約もない場合には、網羅的にルールを記述することは実質的に不可能である。
1950年代の初期の人工知能研究から存在する手法で、特定の分野や用途に特化したシステムは数多く実用化されている。現代では、ビデオゲームのキャラクターを自動的に行動させるプログラムのように、比較的単純なものやプログラムコード中に組み入れられて汎用的でないものなどは、通常のコンピュータプログラムの処理の一種とみなされてAIとは呼ばれないことが多い(AI効果)。
(2025.9.10更新)