FeliCa 【フェリカ】
アンテナとICチップを組み合わせた通信モジュールをプラチックカードなどに内蔵し、専用のアクセス装置(リーダー/ライター)から無線電波を照射することにより電磁誘導による給電と通信の両方を行う。電源不要なため取り扱いが楽で低コスト、長寿命という利点がある。
FeliCaでは13.56MHzの電波を用い、10cm程度までの距離で212~424kbps(キロビット毎秒)での通信を行うことができる。カードをリーダーに近づけ、給電とカードの認識が始まってから通信が完了するまでわずか0.1秒程度であり、短時間で多数の手続きを連続して行わなければならない鉄道の自動改札(ICカード乗車券)などの用途に特に適している。
カード内には不揮発性メモリが内蔵されておりデータを永続的に記録し、リーダーで読み書きすることができる。暗号化の手順も定義しているため、電子マネーやIDカードなど高いセキュリティを必要とする用途でもデータを安全に管理することができる。
一枚のカードに複数の異なる管理主体や用途のデータをまとめて記録するマルチアプリケーションに対応しており、データが他の管理主体から読み書きできないよう保護される。これにより一枚のFeliCaカードに複数社の発行する電子マネーやICカード乗車券を収納して使い分けることができる。
FeliCaの通信方式はJIS X 6319-4で標準化され、また、FeliCaおよび同種の規格であるMIFAREの上位互換の標準としてNFC IP-1(ISO/IEC 18092)が策定された。業界団体のNFCフォーラムではFeliCaの通信方式をNFC Type F(NFC-F)として広義のNFC仕様の一部としている。
FeliCaは1994年に発表され、1997年に香港の地下鉄などで使われるICカード乗車券「Octopus Card」(オクトパスカード/八達通)で初めて大規模に採用された。日本ではJR東日本のSuica(スイカ)を始めとする各社のICカード乗車券や、ソニーが推進していた電子マネーサービス「Edy」(現楽天Edy)などで広く普及している。