CALS/EC 【Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Electronic Commerce】 公共事業支援統合情報システム
概要
CALS/EC(Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Electronic Commerce)とは、日本の建設・土木分野の公共事業で、入札や受発注に関連する書類や図面などをデジタル化し、関係者間での情報の受け渡しや各種の手続きなどを通信ネットワークを通じて電子化する取り組み。従来は発注者、受注者ともに膨大な量の紙の書類を作成、提出して手続きを進めていたが、これをデジタルデータで置き換え、通信ネットワークを介して送受信したり、電子媒体で保存・交換する。入札などの手続きもオンラインで遠隔から行うことができるようにする。
国土交通省が中心となってデータ形式やシステム要件などについて様々な基準や要領、ガイドラインを発行しており、これに従って省庁や自治体などで電子化が推進されている。国交省の公共事業では2001年度から本格展開しており、都道府県・政令市では2002年度から、市町村では2003年度から順次電子化が進められている。
概念の変遷
「CALS」という用語自体は、もとは(あるいは英語圏では)特定の規格や方式のことではなく広い概念で、1980年代に米軍が兵器の開発や製造、兵站、保守などのために膨大な紙の書類を利用していたのを電子化して効率化するプロジェクトの名称 “Computer Aided Logistics Support”として誕生した。
1990年代には民間の産業分野にこの考え方や方式を普及するべく “Continuous Acquisition and Life-cycle Support” という名称が考案され、さらに、商取引における情報交換の電子化を進める業界団体などが “Commerce At Light Speed” という名称を提唱した。
日本では1990年代後半から旧建設省が「建設CALS」、旧運輸省が「空港・港湾CALS」を推進しており、国交省が両者をCALS/ECとして統合し、これが建設業界などに普及した。日本では次第に一般の工業分野や電子商取引などでCALSという用語・概念を使うことはなくなり、現在ではCALSといえば国交省のCALS/ECのことを指す場合がほとんどとなった。