読み方 : ナッシュきんこう
ナッシュ均衡【Nash equilibrium】
概要
ナッシュ均衡とは、ゲーム理論において、複数の参加者(プレイヤー)が互いの行動を前提に最適な選択を行った結果、どのプレイヤーも自分だけ行動を変えても利益が増えない均衡状態のこと。

数学者ジョン・ナッシュ(John F. Nash Jr.)によって定式化されたもので、複数人による相互依存的(相手の出方を考慮に入れる)な意思決定の状況を分析する際に用いられる。各プレイヤーが相手の戦略を所与として自らの利得を最大化しようとした結果、安定した戦略の組み合わせが成立することがある。この状態がナッシュ均衡で、どのプレイヤーも一方的な戦略変更は不利になるため、それ以上変化の起きない均衡点となっている。
最も有名な例として「囚人のジレンマ」がある。このゲームでは、二人の囚人が連絡の取れない状況で「自白」と「黙秘」のどちらかの戦略を選ぶ。協力して黙秘を選べば両者とも最も良い結果となるにもかかわらず、自分の利得を最大化しようとすると結果的に二人とも自白を選んでしまう。この二人とも自白するという状態が、誰も一方的に戦略を変更する動機を持たないナッシュ均衡となっている。
ナッシュ均衡は一つとは限らず、複数存在する場合や、混合戦略によってのみ成立する場合もある。現実の交渉や市場競争などでも、相手の行動を踏まえて自らの最適行動を決める場面が多く、その分析にナッシュ均衡が利用される。この均衡状態が社会的に望ましいとは限らず、安定していても非効率な状態となることがあるため、経済学や政治学などの分野では均衡の性質や改善の可能性が検討される。
(2025.11.28更新)
「ナッシュ均衡」の関連用語
資格試験などの「ナッシュ均衡」の出題履歴
▼ 基本情報技術者試験
【令3修12 問75】 A社とB社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。
【令2修1 問77】 A社とB社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。
【平30修6 問76】 A社とB社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。
【平29修1 問76】 A社とB社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。
【平26秋 問77】 A社とB社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。