ARR【Annual Recurring Revenue】年間経常収益
概要
算出対象となるのは、契約に基づき定額で繰り返し発生する年間利用料のみである。登録手数料や初期構築費用、対応機器の販売代金、従量課金の超過分やアイテム課金といった一回限りの単発的収益は含めない。純粋な継続収益のみを抽出する点が、単純な売上高とは大きく異なる。
算出方法
計算方法はいくつかある。年額契約が中心のサービスでは、各契約者の年間利用料を合算するか、料金プランが単一であれば年額料金に契約数を掛けて求める。例えば、年間12万円の契約が1万件あれば、ARRは12億円となる。
月額契約の場合は、毎月決まって得られる「MRR」(Monthly Recurring Revenue)を算出し、これを12倍するか直近12か月分を合計してARRに換算することもできる。事業拡大や解約、プラン変更などでMRRが変動すれば、ARRもそれに応じて更新される。
ARRを比較する際は、新規契約や契約更新、上位プランへの変更による増加分と、解約や下位プランへの変更による減少分を分けて把握することが重要である。単純な合計額だけでなく、前年比や前四半期比の成長率、解約による減少を反映した実質増減額を追うことで、事業の継続収益基盤がどの程度強固かを測る材料となる。
ARRの意義
ソフトウェアの販売形態が売り切り型から定額制のサービス型(クラウド型)へ移行したことで、単発の売上高よりも継続的な収益基盤の安定性が重視されるようになった。単発の売上は顧客の導入時期に左右され将来予測が難しいのに対し、ARRは既存の顧客基盤から翌年以降に見込める収益を客観的に示せる。この特性から、投資家や経営者が企業価値を判断する材料としても広く利用されている。ただし、ARRは将来の収益を保証する数値ではなく、解約や契約変更によって実際の収益は変動する点に留意する必要がある。
