魔の川/死の谷/ダーウィンの海
概要
魔の川/死の谷/ダーウィンの海とは、企業における技術経営(MOT:Management Of Technology)上の概念の一つで、新技術などの事業化を4つの段階に分けた際に、各段階から次の段階へ移行する際に立ちはだかる困難さのこと。出川通氏が2004年の著書「技術経営の考え方 ~MOTと開発ベンチャーの現場から」で提唱した。企業が新たな技術を研究し、産業として成立させるまでの過程を研究、開発、事業化、産業化の4段階に分け、研究から開発に繋げる困難さを「魔の川」、開発から製品化、実用化に繋げる困難さを「死の谷」、製品の市場投入から産業としての確立に繋げる困難さを「ダーウィンの海」と定義している。
魔の川
「魔の川」は研究段階と開発段階を分かつ障壁で、基礎技術の研究成果を元に、新技術が市場のどのようなニーズを満たすことができるのかを探り、具体的な新製品、新サービスの開発プロジェクトとして立ち上げる困難さを表している。
死の谷
「死の谷」は開発段階と製品化、事業化段階を分かつ障壁で、製品開発から実際に製品発売やサービス開始に漕ぎ着けるまでの困難さを表している。製品であれば調達や生産、流通の手配を整えなければならず、巨額の資金が必要となる。失敗したときの痛手の大きさを深い谷になぞらえている。
ダーウィンの海
「ダーウィンの海」は市場に投入された新製品や新サービスが既存製品や競合他社との競争、消費者や想定顧客の認知や購入の壁、顧客の評価などに晒されながら、市場に定着する困難さを表している。市場で行われる製品や企業間の生存競争や淘汰、環境への適応といった過程をダーウィンの進化論に重ね合わせた表現である。
(2021.6.3更新)