ゲーム機エミュレータ 【video game console emulator】

概要

ゲーム機エミュレータ(video game console emulator)とは、ビデオゲーム専用機の機能をソフトウェアや単体のICチップなどで再現し、その機種向けのゲームソフトを他のコンピュータ上で遊べるようにしたもの。パソコンなどゲーム機以外の機器向けのものと、実機と異なるゲーム機(後継機種など)上で動作するものがある。

家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機、アーケードゲーム機向けのゲームソフトは特定の機種でのみ動作するソフトウェアであり、通常はそのままでは他の機種や他の種類のコンピュータパソコンスマートフォンなど)では動作しない。

ゲーム機エミュレータは特定のゲーム機の振る舞いを模倣したソフトウェアや専用のハードウェアで、その機種向けのゲームソフトをそのまま遊ぶことができる。新機種で旧機種向けのタイトルを遊べるようにしたり、パソコンスマートフォンでゲーム機向けのソフトを遊べるようにするために用いられる。

かつては主にパソコン向けに、元の機種のメーカーとは無関係に開発されたエミュレータインターネット上で公開されることが多かったが、近年ではメーカー自身が過去の機種のソフトを遊べるように公式の機能やサービスとして提供することが増えている。また、エミュレータソフト数十本を一台の機器にパッケージした、「ゲーム機の復刻版」とも言える製品が数多く発売されている。

問題点

過去のゲーム機ではソフトROMカセットや専用メモリーカード、専用磁気ディスクなど特殊なハードウェアで提供されることが多かったため、媒体からデータを抜き出してエミュレータのある環境に持ち出すには特殊な装置が必要で、一般の個人にはハードルが高い。

また、昔のゲーム機はコントローラーもボタン数個で単純な操作体系だったため、キーボード汎用ゲームパッドなどで容易に再現可能だが、付属品として特殊なコントローラー添付されていたソフトや、近年の機種に多く見られるセンサーで動きを検知するコントローラーなどは汎用品で機能を再現することが難しい。

合法性

実機に含まれるファームウェアなどのコンピュータプログラムをそのまま複製するのは知的財産権の侵害で、開発者が検挙されたりメーカーに損害賠償請求された事例もある。ただし、実機の動作を解析し、同じように振る舞うソフトウェアを独自に開発する手法(リバースエンジニアリング)であれば合法となる。

ゲームソフトを遊ぶ際には、自ら購入するなど正規に所有しているソフトデータエミュレータに与えて実行することは私的複製の範囲で合法だが、インターネットなどを通じて権利者の許諾なくソフトの内容を配布・販売したり、これを入手して実行することは非合法となる。

(2024.8.19更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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