読み方 : ウイルスさくせいざい

ウイルス作成罪【不正指令電磁的記録に関する罪】

概要

ウイルス作成罪とは、日本の刑法上の罪の一つで、コンピュータウイルスなどのマルウェアを作成・提供・使用させる行為などを処罰するもの。2011年の刑法改正で新設された。
ウイルス作成罪のイメージ画像

対象となるプログラムは、利用者がコンピュータを使用する際の意図に反した動作をさせる、あるいは意図した動作を妨げる不正な指令を記録した電磁的記録と定義されている。狭義のウイルスのほか、ワームトロイの木馬ランサムウェアなど、利用者の意思に反して不正な動作を行うマルウェア全般が該当する。

処罰の対象となる行為は、不正指令電磁的記録の作成、提供、供用(他人のコンピュータで実行させること)と、使用目的での取得・保管に分かれる。前者には3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、後者には2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。なお、従来の「懲役」「禁錮」は2025年施行の刑法改正により「拘禁刑」に一本化されている。

実行形式のプログラムだけでなく、不正な指令を記述したソースコードスクリプトも対象となる。また、実際に被害が発生したかどうかにかかわらず、作成や取得の時点で処罰される。ネットワークを通じて瞬時に被害が拡大するサイバー犯罪の特性に対応し、被害発生前の段階で取り締まれるよう整備された規定である。

本罪が成立するには、プログラムが利用者の意図に反する動作を行うことに加え、その動作が社会通念上、正当なものでないことが要件となる。管理者が利用目的を明示して配布する遠隔管理ソフトやセキュリティ診断ツール、正当な研究・教育目的のプログラムなどは直ちに該当せず、利用目的や機能、提供方法などを総合的に考慮して判断される。Webサイトに広告の代わりに暗号資産マイニングを行わせるプログラムを設置した行為が不正な指令に該当するかが争点となった裁判例では最高裁で無罪判決が確定している。

(2026.7.10更新)
 

他の辞典等による「ウイルス作成罪」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「ウイルス作成罪」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
平31春 問24】 刑法には、コンピュータや電磁的記録を対象としたIT関連の行為を規制する条項がある。次の不適切な行為のうち、不正指令電磁的記録に関する罪に抵触する可能性があるものはどれか。
▼ 基本情報技術者試験
令3修7 問79】 コンピュータウイルスを作成する行為を処罰の対象とする法律はどれか。
令2修1 問79】 コンピュータウイルスを作成する行為を処罰の対象とする法律はどれか。
平30秋 問78】 コンピュータウイルスを作成する行為を処罰の対象とする法律はどれか。
平27春 問79】 刑法における,いわゆるコンピュータウイルスに関する罪となるものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。