読み方:ワトソン

Watson 【ワトソン】

概要

Watson(ワトソン)とは、米IBM社が開発した大規模な質問応答システム。分野を限定しない自然言語の質問文に対して回答することができる。
Watsonのイメージ画像

自然言語処理の手法を応用して英語の文章として書かれた質問文を分析し、自身が持つデータ群の中から回答にふさわしい単語やフレーズを発見して出力する。既存の百科事典や語学辞書、ニュース記事、文学作品、オンライン百科事典のWikipediaなどから構築した知識ベースを持つ。

2006年に開発が始まり、改良と拡張が繰り返された。2011年にアメリカで人気のクイズ番組「Jeopardy!」(ジョパディ)の特別企画で人間の番組チャンピオン2名に勝利したことで話題となった。その後は医療データベースなどを取り込んで医療診断の補助などの応用が試みられたが、ビジネスとして成立するほどの成果は得られなかった。

Watsonは知識を一定の形式で記述してデータベース化し、入力文の分析結果から統計解析や推論規則を適用して回答を推測する。人工知能研究でニューラルネットワーク型が主流になる前に盛んだった、ルールベース手法や統計的手法を組み合わせたシステムとなっている。

「Watson」の名称はIBM創業者のトーマス・J・ワトソン(Thomas J. Watson)に由来する。同社は2023年に、ディープラーニング手法を応用した機械学習ベースのAIシステムを「watsonx」(ワトソンエックス)の名称でリリースした。ブランド上はWatsonの後継製品だが、技術的な連続性はない。

(2025.9.10更新)

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