読み方 : エーアイりんり
AI倫理【ethics of artificial intelligence】AI ethics
概要
AI倫理とは、人工知能によって生じる社会的、法的、人的影響を踏まえ、人間社会の価値観や公平性、人権などを守るために考慮すべき行動規範や原則のこと。技術の利便性とリスクのバランスを取り、人や社会への影響を適切に管理するために必要となる。

AIは判断や予測を自動化する技術であり、その結果が人の生活や権利に直接影響を及ぼす場面が増えている。これに伴い、差別や偏見の助長、説明不能な判断、プライバシー侵害、安全性の欠如といった問題が生じることが指摘されている。例えば、採用選考にAIを導入した場合、学習データに存在する過去の差別的な傾向をAIが学習し、特定の属性を持つ応募者を不当に排除する可能性がある。
AI倫理は、こうした問題を未然に防ぐために適用される、モデルの設計から学習、利用までを通じて配慮すべき倫理上の原則の体系である。代表的な論点には、公平性や透明性、説明責任(責任の所在)、説明可能性(解釈可能性)、人間による適切な関与などがある。これらは特定の技術仕様を定めるものではなく、AIを社会で利用する際の判断基準として用いる考え方である。
現在、多くの国や国際機関、企業、業界団体などが、AI倫理に関する指針やガイドラインを策定し、法規制を補完する枠組みとして活用している。技術の進歩を止めずに、AIを人類の利益のために安全かつ責任を持って活用するために不可欠な取り組みである。
(2025.12.14更新)