読み方 : エーアイガバナンス

AIガバナンス【AI governance】

概要

AIガバナンスとは、人工知能の開発・導入・運用を組織的に管理・監督し、法令遵守や社会的責任を確保する仕組み。技術的管理と組織的統制を組み合わせ、AIの利用を適切に制御する。
AIガバナンスのイメージ画像

AIは自動化や高度な意思決定を可能にする一方で、誤作動や判断の偏り(バイアス)、透明性の欠如、責任の所在の曖昧さといったリスクを抱えており、体系的な管理が求められる。例えば、金融機関のローン審査にAIを導入するのであれば、人種や性別などの偏見によって不当な判断を下さないよう、アルゴリズムを監視・是正する必要がある。

AIガバナンスでは、モデルの開発やデータの学習から、業務への導入・運用までを通じて、責任の所在や意思決定プロセスを明確にし、リスクを把握・低減する仕組みが整備される。具体的には、AI倫理ガイドラインの策定、リスクアセスメントの実施、AIの判断プロセスを記録・追跡するための技術的措置、利用者や社会への説明責任を果たすための体制整備などが含まれる。

これらは法規制や業界内のガイドライン、自主規制、組織内の規程と連動して運用され、AI倫理の考え方を実務に落とし込む役割も担う。AIガバナンスの整備が適切に進めば、企業や政府はAIの導入が法規制を遵守しているか、公正性や人権といった倫理的な基準を満たしているかを継続的にチェックすることができ、リスクが顕在化したときにも迅速に対処することができる。

(2025.12.14更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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