流通BMS【Distribution Business Message Standards】流通ビジネスメッセージ標準
流通BMSとは?

メーカーと卸業者、小売店の情報システム間で、発注や出荷、受領、返品、請求、支払いといった商取引に必要な電子メッセージの形式と通信プロトコルを規定している。2007年4月に最初の仕様が公表された。
前身にあたる「JCA手順」はダイヤルアップ接続を前提とした1980年代の古い技術仕様であり、インターネット普及後の通信環境と乖離していた。流通BMSはこれをインターネットVPN上のHTTPS通信へ移行させ、「AS2」(Applicability Statement 2)プロトコルを採用することで、より高速かつ低コストなデータ交換を実現した。メッセージ形式にはXMLベースの独自マークアップ言語を採用しており、従来のEDIFACTや独自フォーマットに比べ、システム間の相互接続性と可読性が高い。
各事業者が流通BMSに対応したシステムを導入することで、取引先ごとに異なるデータ形式や通信方式を個別に開発・保守する必要がなくなり、共通の仕様に基づいて複数の取引先との電子商取引を処理できる。中小の卸業者や小売業者においても標準化されたEDI環境への参入コストが下がった。
仕様はスーパーマーケットやアパレル、ドラッグストア、ホームセンターなどの一般的な小売店を対象とする「基本形」と、百貨店固有の商慣行(委託販売、消化仕入れなど)に対応した「百貨店版」の2系統から構成される。かつては生鮮品流通のみを対象とした「生鮮」区分が独立して存在していたが、現在は基本形に統合されている。
仕様のバージョン管理も流通BMS協議会が継続的に行っており、消費税率変更への対応や新たな取引類型の追加などに際してアップデートが実施されてきた。政府が推進する「デジタルインボイス」(Peppol)や電子帳簿保存法への対応といった制度変更に伴う仕様改訂も度々行われている。
国内の食品スーパー大手や主要な卸売業者の多くが流通BMSを導入済みであり、業界横断的なEDI標準として機能している。一方で、中小事業者を中心にFAXや独自EDIが併存している現状もあり、完全な標準化には至っていない。経済産業省が推進する流通・物流のデジタル化施策においても、流通BMSの普及拡大が課題の一つとして挙げられている。