ベクターフォント 【vector font】 スケーラブルフォント / scalable font / ベクトルフォント
概要
ベクターフォント(vector font)とは、文字の形をコンピュータ上で表現するフォントデータの種類の一つで、字形を基準となる点の座標や線を表す曲線のパラメータの集まりとして表現したもの。拡大・縮小しても品質が変わらないという特性がある。文字を構成する線を、角や端の点の位置と、点を結ぶ直線や曲線を表す方程式の係数などを列挙して表現したもので、表示・印刷する際には計算によって字形を求め、縦横に規則正しく並んだ画素の集合に変換(ラスタライズ)する。
拡大や縮小、変形などを行っても形が崩れず、常に一定の品質で表示・印字することができる。ビットマップフォントとは異なり表示上の縦横の画素数とは無関係な形式でデータが定義されるため、大きさによらずデータ量が一定となる。
これに対し、文字の形状を縦横に規則正しく並んだ画素(ピクセル)の集合として表したものを「ビットマップフォント」(bitmap font)あるいは「ラスターフォント」(raster font)という。ビットマップ形式はスケーラブルではなく、拡大・縮小すると形が崩れたり、曲線や斜めの線が階段状に醜く変形したりする。
ベクターフォントの種類
ベクター形式で文字の輪郭線を表現したものを「アウトラインフォント」(outline font)という。輪郭を描いて内部を塗りつぶして文字を描画する形式で、文字全体の太さや、漢字の「はらい」のような画線の太さの変化などを表現することができる。現代ではこの形式が最も一般的に用いられる。
一方、線の太さや輪郭の概念がなく、ペン字のように一様な細い線の集まりとして文字を表現する形式を「ストロークフォント」(stroke font)という。プロッタで文字を印刷したり、工作機械で文字を刻印する際に用いられる形式で、CADシステムや産業機器などが対応している。これを指して「ベクターフォント」と呼ぶこともある。
(2023.12.13更新)