ビットマップフォント 【bitmap font】 ラスターフォント / raster font
概要
ビットマップフォント(bitmap font)とは、文字の形をコンピュータ上で表現するフォントデータの種類の一つで、文字を縦横に規則正しく並んだ微細な画素(ピクセル/ドット)の集合として表すもの。ある決まった数の格子(縦横数個から数十個)を用意し、格子の一部を塗りつぶすことで各文字の字形を表現する。描画のために特別な計算や処理が不要なため、簡易なソフトウェアで高速に処理することができ、小さなサイズではデータ量も少なく、きれいに表示・印字できる。
一方で、元の大きさとは異なるサイズに拡大・縮小したり、幾何学的な変形を加えると形が崩れやすく、特に見出しなどで拡大表示すると格子が階段状に大きく拡大され、曲線や斜め線の部分が醜くなる。様々な文字サイズに対応しようとすると各サイズに対応したデータを個別に作成しなければならず、制作コストやデータ容量の点で不利となる。
コンピュータの処理能力やデータ保存容量が限られていた1990年代頃までは、主に画面表示用としてビットマップフォントが一般的に用いられてきたが、現在では決まった表示・印字サイズしか使わない専用のシステム(帳票処理システムや電子辞書など)で限定的に用いられるのみとなっている。
これに対し、文字の形状を、基準となる点の座標や輪郭線を表す曲線のパラメータの集まりとして表現したものを「アウトラインフォント」(outline font)と言う。表示や印刷のたびに与えられたサイズの画素の集合に変換(ラスタライズ)しなければならないため処理負荷が重いが、拡大・縮小しても字形が崩れないため、現在では広く一般的に用いられている。
(2023.12.13更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 大阪府大阪産業経済リサーチセンター「産開研論集」第26号「デジタル化イノベーションによる産業での変化 ― 印刷関連業での動向から積層造形関連分野の今後を見通す ―」(PDFファイル)にて引用 (2014年3月)
- 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書 知的財産研究所「タイプフェイスの保護のあり方に関する調査研究報告書」(PDFファイル)にて引用 (2008年3月)