マスクROM 【mask ROM】
概要
マスクROM(mask ROM)とは、読み出し専用の半導体メモリ(ROM:Read Only Memory)のうち、工場での製造時に内容が固定されるもの。製造後の記憶内容の消去や上書き、再書き込みなどは一切できず、単にROMといった場合は本来これを指す。記録されるデータをチップ内部の半導体素子や配線の配置として構成し、半導体製造装置でICチップを製造する時点で同時に内容も記録される。マスクROMという名称は製造装置内で回路形成に用いるフォトマスク(photo mask)と呼ばれる部品に由来する。
PROMなどチップ製造とデータの書き込みの工程や装置が分離しているタイプのROMに比べ、構造が単純で大量生産したときのコストが最も安いため、完成品として同じ内容を大量に複製する必要のある用途で主に用いられる。家庭用ゲーム機のゲームソフトの販売用記録媒体(ROMカートリッジ)、家電やAV機器、産業機械などに内蔵される制御用ソフト(組み込みソフトウェア)の記録などによく利用される。
マスクROMの製造には半導体チップの回路パターンを記録したフォトマスクを開発・製造する必要があり、ある程度まとまった期間と費用がかかるため、概ね数万台以上のまとまった量を大量生産する場合に適している。いったん製造し始めたROMの記録内容を変更するにはフォトマスクの作り直しが必要となり期間と費用を大きくロスしてしまうため、試作品にはPROMを用いてテストを繰り返し、出荷版が完成したらマスクROMで生産するといった使い分けが行われることが多い。
(2018.4.9更新)