読み方 : エスシーイーピー

SCEP【Simple Certificate Enrollment Protocol】

SCEPとは?

ネットワークを通じて認証局(CA)から機器にデジタル証明書を発行する手順を定めたプロトコルの一つ。米シスコシステムズ(Cisco Systems)社が提唱し、2020年にIETFによってRFC 8894として標準化された。
SCEPのイメージ画像

デジタル証明書は、通信相手の正当性確認やデータ暗号化に使われる電子的な身分証明書である。これを発行する機関を「認証局」(CA)と呼び、企業内ネットワークでは大量の機器に証明書を配布する必要がある。管理者が一台ずつ手作業で対応するのは現実的ではなく、SCEPはこの配布作業を自動化するためのプロトコルである。

動作の流れとしては、まず端末が秘密鍵公開鍵のペアを生成し、自身の情報と公開鍵を含む証明書署名要求CSR)を作成してCAへ送信する。CAは内容を検証し、承認されれば署名済みの証明書を返送する。通信にはHTTPを採用し、データ形式にはPKCS#10を用いることで、異なるメーカーの機器間でも証明書のやり取りが可能になっている。申請時の認証には事前に共有したパスワードを使い、不正な端末からの登録を抑制する。

主な用途は、企業がスマートフォンタブレット端末を一括管理するMDMモバイルデバイス管理)環境や、ルータWi-Fiアクセスポイントなどのネットワーク機器が自律的に証明書を取得する場面である。Wi-FiVPN接続に必要な証明書を多数の端末へ一括配布する際に活用され、管理者の運用負荷を大幅に削減できる。

一方、設計が古いことによるセキュリティ上の制約も指摘されている。パスワードが漏洩すると不正な証明書が発行されるリスクがあるほか、証明書の失効確認機能も限定的である。高度な認証制御や厳格なポリシー管理が求められる環境では、「EST」(Enrolment over Secure Transport)や「CMP」(Certificate Management Protocol)といった新しいプロトコルが選ばれることもある。ただし、実装の容易さと既存機器との互換性の広さから、現在も多くの組織で使われ続けている。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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