ツイストペアケーブル 【twisted pair cable】 より対線 / 撚り対線
概要
ツイストペアケーブル(twisted pair cable)とは、通信用の金属(メタル)ケーブルの種類の一つで、細長い金属製の電線(芯線/信号線)を2本1組として螺旋状に撚り合わせ、このペアを何対か集めてゴムなどの被覆材で覆って一本のケーブルとしたもの。絶縁した二本の信号線を並べて捩り、二重螺旋構造にした通信用の金属線ケーブルである。各信号線には互いに位相が反転した信号を流すことで、外部へ生じる電磁ノイズも、外部のノイズ源から受ける影響も二本が互いに打ち消し合い、安定して信号を送ることができる。
最も普及しているのは信号線が4対8芯で端子が両端に8個ずつついているタイプのもので、LANケーブル(イーサネットケーブル)として広く普及している。伝送可能な電気信号の周波数によりいくつかの規格(カテゴリー)が定められてる。
非シールドより対線 (UTP)
単純に信号線が柔らかい合成樹脂などでできた絶縁体の外被(シース)に覆われているだけのタイプを「UTPケーブル」(Unshielded Twist-Pair cable:非シールドより対線)という。最も構造が単純で安価なため、普及型のネットワークケーブルなどで広く用いられている。
シールド付きケーブル (STP)
信号線の各ペアやケーブル全体を金属製の被覆材(シールド)で覆い、電磁遮蔽の原理でケーブル内外やペア間での電磁波の漏洩や干渉を防ぐものを「STPケーブル」(Shielded Twisted-Pair cable:シールド付きより対線)という。
電磁ノイズによる通信品質の低下を抑えたり、外部に漏洩した電磁波による別の電子機器や人体への影響、電磁波観測による盗聴などを防止することができる。被覆はペア単位で行われる場合とケーブル全体で行われる場合、その両方で行われる場合がある。
被覆の方法はいくつかあり、ペアごとの被覆と全体の被覆、被覆の種類(薄膜か編組か)によって様々な組み合わせがある。被覆なしを「U」、細い金属線を網状に編んだ組編シールドを「S」、金属薄膜(フォイル)による被覆を「F」という文字で表し、“[全体被覆]/[ペアごとの被覆]TP” という形式で表記する。
例えば、ペアごとの被覆なし、全体が薄膜被覆のものは「F/UTP」、ペアごとが組編シールド、全体も組編シールドのものは「S/STP」といったように表記する。歴史的な経緯から、単に「STP」といった場合はペアごとに組編シールドありで全体が被覆なしのものを指すが、「FTP」は「U/FTP」(全体被覆なし・ペアごとに薄膜被覆)を指す場合と「F/UTP」(全体を薄膜被覆・ペアごと被覆なし)を指す場合の両方があり、混乱している。
カテゴリー
ケーブルの電気特性に応じて信号の周波数の上限を定めた「カテゴリー」と呼ばれる規格が何段階か定められている。最も低い「カテゴリー1」(Cat1)は電話線などで音声通話に用いるもので、1MHzまでの信号を流すことができる。
「カテゴリー2」以降は高速データ通信に用いる規格で、カテゴリー2(Cat2)は4MHz、「カテゴリー3」(Cat3)は16MHz、「カテゴリー4」(Cat4)は20MHz、「カテゴリー5」(Cat5)は100MHz、「カテゴリー6」(Cat6)は250MHz、「カテゴリー7」(Cat7)は600MHzまでの周波数に対応する。
各カテゴリーは下位のカテゴリーの用途にも用いることができる。カテゴリー5の伝送距離を延長した高品質の「エンハンストカテゴリー5」(Cat5e)や、カテゴリー6の2倍の500MHzまで対応する「オーグメンテッドカテゴリー6」(CatT6A)などの派生仕様が用いられることもある。