エイリアス 【alias】

概要

エイリアス(alias)とは、偽名、別名、通称などの意味を持つ英単語。ITの分野では、ある対象や実体を、複数の異なるシンボルや識別子で同じように参照できるする仕組みを指す。

例えば、プログラミング言語の中にはデータ型などに開発者が別の名前を与えて宣言などに使うことができる仕組みが提供されていることがあり、この機能および名付けられた別名のことをエイリアスという。

LinuxなどのUNIX系OSでは、コマンドを別名で登録する機能のことをエイリアスという。aliasコマンドで設定し、unaliasコマンドで削除する。元のコマンドに指定したオプションも含めて展開されるため、長いオプションを頻繁に利用する場合に短い別名で呼び出すことができる。

メールアドレスのエイリアス

メールサーバ電子メールアドレスに別名をつける機能をエイリアスという。一つのメールアカウントメールボックスに対して複数のアドレスを設定し、どのアドレスに送っても同じ人に届くようにすることができる。送信側からはどれが本アドレスでどれがエイリアスなのか区別することはできない。

迷惑メール対策などのために登録先ごとにアドレスを変えて不要になったら削除したり、企業などで個人名のアドレスに役職名のアドレスでも届くようにするといった利用例がある。アドレスの作成や削除はサーバ側でうため、所属先や契約先のメールサービスが機能を提供している必要がある。

信号処理のエイリアス

デジタル信号処理の分野では、アナログ信号をデジタルデータ標本化サンプリング)する際などに、サンプリング周波数の1/2以上の周波数の成分が混じっている時に生じる周期的なノイズのことを「折り返し雑音」「エイリアシング」あるいはエイリアスという。

写真を撮影したり映像を録画する際、細かい規則正しい模様になっている箇所に本来存在しない縞状の模様(モアレ)が見える現象などがこれにあたる。このようなノイズが生じないようにするための信号処理を「アンチエイリアス」(antialias)という。

ファイルシステムのエイリアス

macOSMac OS X/旧Mac OS)で、よく使うファイルフォルダの「分身」を別の場所に置き、すぐに参照できるようにする機能をエイリアスという。WindowsショートカットUNIX系OSシンボリックリンクに似た機能である。

エイリアスのアイコンポインタを合わせてマウスダブルクリックするなどファイルを開く操作をうと、参照先本体のファイルフォルダを開く動作がわれる。エイリアスを削除しても本体には何の影響もなく、エイリアスはいくつでも作成でき、ファイルシステム内のどこに置いてもよい。

(2023.12.3更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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