p型半導体 【p-type semiconductor】

概要

p型半導体(p-type semiconductor)とは、半導体の種類の一つで、電荷を運ぶ担体(キャリア)に「正孔」(hole:ホール)と呼ばれる電子の欠落を用いるもの。高純度のシリコン(ケイ素:Si)やゲルマニウム(Ge)などの4価の物質の結晶中に、価電子数の少ない3価のホウ素(B)などを添加した組成がよく知られる。

半導体とは、電気をよく通す「導体」と通しにくい「絶縁体」の中間の性質を持つ物質で、結晶中で原子間の化学結合を担う電子がところどころ過剰であるか欠落していることによってそのような性質が生じる。

p型半導体の内部では、結晶内に電子の欠落した穴のような構造(正孔)が生じ、周辺の価電子が落ち込むことでその電子が元いた場所が新たな正孔となる。この正孔の移動が次々に繰り返されることで、あたかも正(positive/+)の電荷を持った素粒子が物質中を移動しているように振る舞い、正の電荷を運搬することができる。

これに対し、負(negative/-)の電荷を持つ自由電子が電流を伝える役割を担う半導体を「n型半導体」という。ダイオードトランジスタなどの半導体素子は、n型半導体とp型半導体を組み合わせることで構成される。トランジスタの構造にはp型をn型で挟んだ「NPNトランジスタ」と、n型をp型で挟んだ「PNPトランジスタ」の2種類が知られている。

(2022.7.28更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる