隷書体

概要

隷書体とは、漢字の書体の一つで、横画に波打つような緩やかな上下のカーブがあり、全体的に横長な字形のもの。印鑑などに用いられる。

紀元前の春秋戦国時代の中国で使われ始めた「隷書」に由来する書体で、それ以前の「篆書」(てんしょ)に比べ木簡に素早く筆記するのに適した字形の省略や変形がわれている。象形文字に近い篆書より現代の漢字に近く、後の時代の行書楷書の原型となっている。

日本に漢字が伝わる頃にはすでに中国で行書楷書草書が定着した後だったため、古代や中世の日本では隷書を文書作成などに広く用いることはなかったが、横長でどっしりした字形から扁額(看板)などに適した書体として江戸時代あたりから書道で用いられるようになったとされる。

現代では印鑑やお札に使われる書体としてよく知られており、コンピュータ用の隷書体フォントも広く普及している。印刷物の表題や本文などに使用することはあまりないが、映像のテロップなどで古風な雰囲気やおどろおどろしい雰囲気を出したいときに使われることがある。

(2023.11.30更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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