読み方:しんたいせい
身体性 【embodiment】
概要
身体性(embodiment)とは、人間が体を通じて外界と相互作用することにより知覚や認識を行っているという性質。哲学や認知科学、人工知能の分野では、知能が成立するのに身体は不可欠か否か、が重要な問題となっている。人間は感覚器によって外界から得た情報に基づいて思考し、運動器で外界に働きかけることで行動している。人間が知識を得て知性を発達させる過程では、行動を通じて得た様々な知覚情報を統合して一つの概念を形作っていると考えられる。
機械学習システムなどの人工知能は人間の知性の模倣を目指しているが、その学習過程は文字や画像、映像などデータ化(符号化)された情報の加工や操作であり、人間の学習過程とは異なり自らの身体による外界との相互作用が欠落しているという指摘がある。
フレーム問題やシンボルグラウンディング問題など、現在の人工知能が苦手とする問題の克服には、人間の持つ身体性を何らかの仕組みで再現する必要があるのではないかという仮説があり、人工知能研究者の間でも見解が分かれている。
(2025.9.3更新)