読み方:イライザ

ELIZA 【イライザ】

概要

ELIZA(イライザ)とは、1966年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョセフ・ワイゼンバウム氏によって開発された、最も初期の自然言語処理プログラムの一つ。現代でいうチャットボットのようなシステムで、人間と文字による対話的なやり取りをすることができた。
ELIZAのイメージ画像

比較的単純なパターンマッチと単語の置き換え処理を基本とするプログラムで、人間の入力文に対して関連がありそうな文章を生成して応答する。マッチングや置き換えのルールは専用の言語でスクリプトとして記述して与える方式を取り、スクリプトを入れ替えることで様々な「人格」を演じることができる。

最も有名は応用例は「DOCTOR」と呼ばれるスクリプトで、心理療法士の対話を模して記述されたルールに従って動作する。「最近気分が沈むのです」という入力に「なぜ気分が沈むのですか?」と返すなど、人間の入力から単語を抜き出してオウム返しに質問を行い、これに人間が答えるというやり取りを繰り返す。

基本的には人間の入力から抜き出した単語で質問文を構成するだけであるため、常識や専門知識など、知識に相当するデータは何も持っていない。対話相手の人間は、いくら対話を進めても自分の入力した以上の情報は何も帰ってこないが、プログラムであることを知らせずに使用していた人の中には、相手が人間であると信じて疑わない人も多く、中には種明かしをしても信じない人もいたという。

単純なルールで動作するプログラムに人々が知性の存在を確信してしまうという事態は開発者自身やAI研究者らに衝撃を持って受け止められた。コンピュータが人間らしい振る舞いを見せると、人間はそれがプログラムで決まった出力であると知っていても、無意識的に人間性や知性をシステムに見出してしまう心的傾向が明らかになった。これを「ELIZA効果」という。

(2025.9.8更新)

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