読み方 : ふせいこうこく

不正広告【malvertising】マルバタイジング

概要

不正広告とは、Webサイトやアプリに配信される広告の仕組みを悪用し、閲覧者の端末にマルウェアを感染させたり、悪質なサイトへ誘導したりする攻撃手法。正規のサイトに掲載された広告であっても攻撃に利用される場合があり、利用者が普段訪れているサイトでも被害に遭う可能性がある。
不正広告のイメージ画像

攻撃者は実在する企業などを装って広告配信事業者(アドネットワーク)と契約し、悪質なプログラムを仕込んだ広告データを掲載枠へ送り込む。広告データにはJavaScriptなどのスクリプトが含まれる場合があり、これを悪用して閲覧者の端末上で不正なコードを実行させる。

閲覧者が該当の広告を表示するWebサイトを訪問すると、広告の表示やクリックを契機に不正な処理が作動する。かつては広告のクリックを必要とする手口が中心であったが、近年ではWebブラウザの脆弱性を突き、広告が表示されただけで裏で攻撃用のサイトへ自動転送する手口も広がっている。

被害の内容は端末内の個人情報やログイン情報の詐取、ランサムウェアへの感染など様々である。広告から偽のショッピングサイトやフィッシングサイトへ転送する手口や、偽のセキュリティ警告を表示してサポート詐欺や不要なソフトウェアの導入へ誘導する手口も含まれる。

近年では、出稿時には正常な広告に見せかけ、審査を通過した後で悪意ある挙動へ切り替える「クローキング」(cloaking)と呼ばれる隠蔽の技術も進んでいる。広告の表示対象や転送先を利用者の環境によって変え、通常の利用者には無害な内容を表示しつつ特定の利用者だけを狙う手口もあり、発見や検知を一段と難しくしている。

広告配信事業者の多くは掲載基準を設け、マルウェアの自動検知システムなどで不正な広告の遮断に努めているとされる。しかし、契約から掲載に至るプロセスの多くは自動化されており、大量の広告データをすべて人手で審査することは難しい。大手検索エンジンやニュースサイトのような信頼性の高いWebサイトであっても、第三者の広告配信ネットワークを利用している以上、不正広告が表示されるリスクを完全には排除できない。利用者側の対策としては、パソコンのオペレーティングシステム(OS)やWebブラウザ、セキュリティ対策ソフトを常に最新の状態に保ち、広告や警告画面から指示された操作を安易に行わないことが基本となる。

(2026.9.16更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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