リターゲティング広告【retargeting ad】リマーケティング広告
概要

訪問者の識別には、Webブラウザに情報を保存する「Cookie」の仕組みが用いられる。広告主のサイトに専用のタグを埋め込み、訪問した利用者の識別情報や行動履歴を配信事業者のデータベースに蓄積する。
利用者がその後、配信ネットワークに加盟するサイトやアプリを閲覧すると、配信システムが対象者かどうかを判定し、該当する広告主の広告を表示する仕組みである。通販サイトで見た商品や関連商品の広告が、別のサイトで表示されるのが典型例である。
自社サイトに一度でも訪れた人は、その企業や製品、サービスに関心を持っている可能性が高い。無差別に配信するより費用対効果が高く、購入済みの利用者を対象から除外したり、閲覧した商品に応じて広告内容を変えたりすることも可能である。一方で利用者からすると、互いに無関係な複数のサイトを見ているにもかかわらず、以前訪れたサイトの広告が繰り返し表示されるため、閲覧行動を追跡されているように感じ、悪印象を抱く場合もある。
規制強化の動き
この仕組みは主に、訪問先とは異なるドメインから発行される「サードパーティCookie」によって実現されてきた。しかし近年、こうした追跡がプライバシー上の懸念として問題視され、欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとする法規制の強化や、Webブラウザ各社による制限が進んでいる。
米アップル(Apple)社の「Safari」や、米モジラ財団(Mozilla Foundation)の「Firefox」はサードパーティCookieを標準でブロックしており、これらのブラウザでは従来型のリターゲティング広告が機能しにくい。米グーグル(Google)の「Chrome」も段階的な廃止を計画していた時期があったが、2024年に方針を撤回し、2026年現在もサードパーティCookieの利用を維持している。
こうした状況を受け、広告業界では広告主が自ら収集するファーストパーティデータやログイン情報に基づく識別、個人を特定しない共通IDモデルなど、Cookieに依存しない代替技術への移行が進められている。また、同一利用者への表示回数を制限するフリークエンシーコントロールの設定や、利用目的の説明、同意取得、オプトアウト手段の提供など、プライバシーに配慮した運用も求められている。